アドバンスト・エッセンシャルワーカーとは?これからの社会の変化を考えた進路選択

いま学生の皆さんは、世の中が10年後にどうなっているかを考えて、進路を選択する必要があります。

アメリカでは、「コンピューターサイエンス」の大学の学位が10年前は大人気でした。
最近発表された統計によると、いまアメリカの産業のなかで、その学位が失業率トップ10に入っているそうです。
いま流行っている仕事や会社が、10年後も流行っている保証はないということです。

これからの日本では、どのような会社や仕事が伸びるのでしょうか?

国の省庁のホームページではさまざまな資料が公開されていて、今後、どのような能力や人材が必要になるのかを知ることができます。

ところで、「エッセンシャルワーカー」という言葉があります。
「エッセンシャル」とは、「欠くことのできない」「必須の」「非常に重要な」という意味で、エッセンシャルワーカーとは、社会に欠かせない仕事をする人のことです。

例えば、警察、消防、自衛隊、交通機関、建設、電気、水道、ガス、通信。
医療、介護、教育、保育、政府、自治体。
飲食店、食品を扱う人やいろいろなモノを海外から買ったり売ったりする人ももちろん必要不可欠ですよね。

こういった「無いと困る」仕事をしている人たちですが、人材不足だったり、給料が安くて生活できないということが社会問題となっています。

そこで、最近「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」という言葉が注目されています。

アドバンスト・エッセンシャルワーカーとは?

アドバンスト・エッセンシャルワーカー(Advanced Essential Worker, AEW)」は、従来の「エッセンシャルワーカー」の概念を進化させたものです。
エッセンシャルワーカーが社会の基盤を支える不可欠な労働者であるのに対し、アドバンスト・エッセンシャルワーカーは以下の特徴を持つ次世代型の高度現場人材を指します。

高度な専門性:医療、介護、製造業などの現場で、専門的な知識や技能を活用
判断力と問題解決能力:汎用的な課題解決能力を持ち、現場での意思決定を担う
社会的価値の創出:単なる業務遂行にとどまらず、社会全体に貢献する役割を果たす
デジタル技術の活用:AIやICTを駆使し、生産性や効率性を向上させる

一言でいうと、「デジタル技術等も活用して現在よりも高い賃金を得るエッセンシャルワーカー」のことです。

具体的な職種としては、医師、看護師、救急救命士、臨床工学技士、高度な介護職などが挙げられます。
この概念は、ホワイトカラー層の余剰とブルーカラー層の不足という労働市場のミスマッチを解消するために提唱されました。
特に、デジタル技術の進展により、オフィス労働の自動化が進む一方で、現場労働の需要が高まっている背景があります。

アドバンスト・エッセンシャルワーカーとして成功する具体例

アドバンスト・エッセンシャルワーカーとは、「デジタル技術等も活用して現在よりも高い賃金を得るエッセンシャルワーカー」のことですが、具体的にどういうことでしょうか?

国の資料では、次のような仕事について、人手不足が深刻だと書いてあります。

飲食業、宿泊業、小売業、生活関連サービス業(理美容業、クリーニング業、冠婚葬祭業)、その他サービス業(自動車整備業・ビルメンテナンス業)、運輸業、建設業、医療、介護・福祉、保育、製造業、農林水産業

上のような分野で、誰にもまねのできないスキルを身につけたり、最先端の技術を掛け合わせることで、高い賃金を得て社会で活躍できる人材になる。
これからは、そのような考え方が必要です。

いくつか具体例を考えてみましょう。

1.医療分野の薬剤師

ポリファーマシー(多剤併用)の解消や健康格差の是正
セルフメディケーション支援や予防医療への積極的な関与
AIを活用した調剤業務の効率化や患者データの統合分析

2.介護福祉士

高齢者施設でのケア業務に加え、ICTを活用したケアプランの最適化
地域コミュニティとの連携を通じた包括的な支援
高度なリーダーシップと専門知識を活かし、介護事業所を運営

3.製造業における、スマートファクトリーの現場リーダー

製造業では、AIやロボティクスを活用したスマートファクトリーが進展しています。
現場リーダーは、デジタル技術を駆使して生産ラインの効率化を実現し、製品の品質向上に貢献しています。

IoTセンサーを活用したリアルタイムの生産管理
ロボットと人間の協働を最適化するプログラム設計
労働者の安全性を確保しつつ、生産性を向上させるリーダーシップ

4.飲食業における、デジタル化を推進する飲食店マネージャー

飲食業では、注文システムのデジタル化やAIによる在庫管理を導入することで、効率的な店舗運営を実現しているマネージャーが注目されています。

AIを活用したメニューの最適化(顧客の嗜好に基づく提案)
デジタル予約システムの導入による顧客体験の向上
従業員の教育とリスキリングを通じたサービス品質の向上

5.小売業における、データ分析を活用する店舗運営者

小売業では、店舗運営者が顧客データを分析し、商品配置や在庫管理を最適化することで売上を伸ばしています。

顧客の購買データを基にした商品ラインナップの調整
AIを活用した在庫管理システムの導入
店舗スタッフの教育を通じたサービス向上

6.教育業における、ICTを活用する教師や学習塾経営者

教育業では、ICTを活用してリモート授業や個別学習プログラムを提供する教育者が成功しています。

AIを活用した個別学習プランの設計
生徒の学習データを分析し、適切な指導方法を提案
地域社会との連携を通じた教育の質向上

まとめ

以上、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの具体例をいくつか挙げてみました。

高校や大学は、実践的スキルの育成、デジタルリテラシーの強化、多職種連携スキルの育成、地域社会との連携、キャリアパスの多様化、学際的教育の推進を通じて、アドバンスト・エッセンシャルワーカーの需要に応える教育改革を進める必要があります。

これにより、社会の変化に対応できる人材を育成し、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されます。

これから高校や大学の進路を考える学生や保護者は、これからの社会の変化を念頭に置きながら、教育環境の整備に注目して進路を選択すればよいでしょう。

では、また。